明日には忘れるなにかについて

天野くにひろのブログです

明日は大丈夫って昨日も思ってた

年末、かかりつけの精神科に電話をかけた。年末年始に備えて薬が欲しかったからだ。 「ツーーーーーツーーーーー」 電話が繋がらない、やらかした。診療は午前までだったのだ。年末年始もみっちり仕事が入っているが、もうどうしようもない。 薬を切らしてからの俺は散々…

なりたいあの子になれない君へ〜その2〜

俺の親父と俺の間にある、マリアナ海溝のチャレンジャー海淵級に深い溝については以前の記事『なりたいあの子になれない君へ』(https://kuniama.hatenablog.com/entry/2019/11/17/220039)で説明させていただいたと思う。 様々な事情と事件と感情がもつれた結…

嗜みたい、好みたい

『コーヒー飲んでタバコも吸う奴は口臭がうんこと同じくらいくさい』と言い出したのはどこの誰だっただろう。 プルームテックで自宅内を燻製器の中ばりに煙たくしながら読書をしていると、恋人もどきが缶コーヒーを片手に入ってきた。 「うわぁ、部屋ん中が…

900円と銭湯と

アパート両隣の部屋の玄関扉下の隙間から、風呂水と思しき液体が流れ出しているのに気が付いた。定期的に排水管のどこかしらが詰まるので、またそれの影響で風呂の排水が逆流でもしたのだろう。 今から入浴しようと思っていたが、風呂の湯が反乱を起こすと面…

ゼブラの縞で編んだ鳥籠

はっきり言って俺の部屋は悪趣味だ。 白と基調にした家具までは良い。カーテンがゼブラ柄なのだ。クッションは白に金の糸が混ぜられたファーのカバーがかかっている。 もともとは俺の部屋のカーテンとクッションカバーも紺の無地に統一された上品さを意識し…

なりたいあの子になれない君へ

絵を描くのが大好きだった。中学を卒業するまでは1日5枚程度の絵を時間と根気が許す限り描き続けていた。 今はというと、数ヶ月に一度『へのへのもへじ』を描くレベルである。描き飽きたのではなく、精神的を完全にへし折られたからだ。 俺の親父の話をし…

テロ飯配送サービス

「邦宏、どこかにカメムシいない?くさいよ?」 「分かってる、これのせいだ」 玄関から合鍵で入ってきた恋人もどきの最初の言葉は、異臭のクレームだった。 そんなクレームを受ける俺の目の前には卵10個を使って作られた、タッパーにミチミチに詰まったパク…

言葉にならない 名残惜しさを

「好きな曲って何?」 「好きな曲?」 恋人もどきからの突然の質問に少し困りながらも、俺は『さよならと言おう』であると答えた。卒業シーズンの定番合唱曲である。 自分が卒業式で歌われる側になった時は大変嬉しかった記憶がある。俺を散々な目に合わせた…

香りかすかに、きみそこに

薬を飲んでも眠れなかった。怒りに任せて2シートくらい薬を追加してやろうか悩んだ。 しかし先日友達がこの有様を心配してLINEでメッセージをくれたり、電話口でぽつりと他の方法を探さないかと提案されたばかりなので、薬を追加するのをやめた。 人間は自…

毎秒生きて死んでいる

「明日、動物園に行こう」 俺の口癖であるが、実行されたことはほとんどない。 思い立ったその日のうちに支度をして、翌朝着替えて家を出るだけにしておいても、当日になるとなぜかどうでもよくなっている。どちらかというなら行きたくなくなっている。その…

欲望に恋して

「好きだよ」 そう言われると、何をされても許してしまう癖がある。本当に何を、どんなことをされようとも許してしまう。 「そういうの良くないよ、いつか大事に、事件になっても知らないよ」 相談相手は口を揃えてそう言う。 そもそも好きだと言われなくて…

もしも人形になれたなら

太宰治の熱狂的なファンであるお客と話をした時に言われた言葉だ。 「あの人(太宰治)ったら酷いのよ、私が産まれる前に他の女と心中しやがったの」 まるで自分の彼氏に浮気をされたうえ捨てられた女の発言である。 俺はなんだか驚いてしまって 「とんだ災難…

シーバスリーガルを切らした日

バイト中、近所の同業のお客から突然問われた。 「この仕事は君にとって楽しいかい?」 「はい、楽しいですよ。分からないことは多いですが、ここでは何かあればだいたい助けてもらえますから。」 いきなりの質問の驚いてしまったが、なんとか返答した。 「…

人生、勝手にしやがりたい

「俺は自分の容姿嫌いじゃないです。あの遺伝子情報からこの容姿が完成したというなら上出来中の上出来だと思いますので」 俺は容姿の話になると、この言葉を口癖のように言う。でも同時に付け加える。 「あぁでも、なれるなら羽生結弦かディーンフジオカに…

見えない君しか聞こえない

俺の住んでいるアパートはペットの飼育を禁止している。しかし隣の部屋の住人の様子を知る限り、水槽で魚類を飼うことくらいは許されているようである。 しかし台風が来るということで食料もろもろの買い出しに出かけようとアパートを出た時、俺は見てしまっ…

俺は誰かの何なのか

私服で仕事をされている方でも、なんとなく仕事ということで服装に似たような傾向というか、決まって身につけるものがあると思う。 私服通勤族である俺にもある。黒いキャスケット帽、同じく黒の横型リュックサック、そしてさらに黒の腕時計。 仕事中に被り…

あなたの死を悼んでいたい

『イマジナリーフレンド』という存在が一時期大変話題になった記憶がある。俺にもいた。『いた』ということはいなくなったということであるが、それは的確な表現だと思う。 一緒にお風呂に入っていたら突然四肢がバラバラになって動かなくなってしまったのだ…

愛と記憶の在処を求めて

顔見知りの経営する飲食店で食事をしながら、 近況報告をぽつぽつとしあった。 「ここのところ眠れなくてつい薬を飲みすぎてしまい、 気が付けばサイリウムの如く光る花の畑が下衆な声かけをしてくる のを、やはり眠れず意識が落ちるまで耐えていた。」 この…